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また義統としても、こちらを傀儡守護と侮る信友に不満を募らせていた為、両者の溝は徐々に深まっていった。
一説によると、信秀の愛妾であった「岩室」を両者で奪い合ったという逸話まであるが、両者の対立が益々決定的となったのは、
義統の家臣・簗田弥次右衛門が掴んだ信友の“信長暗殺計画”を、信長本人に密告した事にある。
案の定この計画は失敗に終わり、加えて信友の家臣・那古野弥五郎の手引きによって、清洲城が信長勢の焼き討ちにあう等の被害を受けてしまった。
こういった事情から、本来なら共に花見の宴を…という雰囲気になろうはずもないのだが
「これはしたり、肴が足りませぬな。──誰ぞ!早よう新しい膳を持って参れ。守護殿のお好みに合わせてな」瘦小腿原理
何故だか今、義統の隣では信友の媚びるような笑顔が浮かんでいるのである。
実はこのような信友の振る舞いは、今回に限っての事ではなかった。
このところ不思議なくらいに、信友が義統との接触を図ろうする動きが目立つのである。
日々高価な献上品や友好的な内容の文が届き、使者を通してのご機嫌伺い等も頻繁に行われていた。
義統は、この突然の恭しき態度を訝しく思い
「大和守におかれては、如何なる次第があってのことか?」
と信友の使者に訊ねると、彼らは決まって
「過ぎ去った事は全て水に流し、守護殿と再び和合あそばされたいというのが、我が殿のお考えにございます」
と笑みを作りながら答えるのである。
無論、義統はこれを真に受けなかった。
こちらが信友の傀儡ならば、信友とて彼が従える重臣たちの傀儡である。
坂井大膳ら頭の黒い鼠たちが、また良からぬ知恵を信友に授け、何か事を運ばせているのだろうと勘繰っていた。
この日とて、信友の執拗な招きと、これまでの経緯などを考慮して渋々宴に参列したが、
義統は自身の背後、幔幕の裏、城内の至る所に大勢の家臣を置き、万が一の事態に備えていた。
「…少々厠へ」
と席を立った折にも、義統は幾人もの屈強な男たちに周囲を護らせ、それこそ虫の入る隙もない程の万全の構えで出て行くのである。
信友はそれを、いやらしい程に甘い笑顔で見送るのだが、いざ義統らが幔幕の外に出ると
「…氏にすがるしか脳のない裏切り者めが」
信友は不愉快さを満面に湛えて、ぽつりと呟いた。
「大膳よ。儂はいつまでこのような茶番を続ければ良いのじゃ?」
「今暫くのご辛抱を」
「いったいいつまで続けさせるつもりじゃ!? 儂はあの者の顔も見とうないと申すに、心にもない献上品や、奴を褒め称える書状まで書かせおって」
「それで良いのでございます。継続は力なりと申しますでしょう」
「何が継続じゃ!儂がそちに頼んだのは──」
信友はふいに口をつぐみ、双眼を素早く左右に動かすと
「…儂がそちに頼んだのは義統の始末じゃ。ご機嫌取りではないぞ」
囁くような声量で訴えた。
「無論 分かっております。ですからその為の機会を、こうして窺っているのではありませぬか」
大膳も更に声を細めて告げると
「そちの推測はちと綺麗過ぎる。 …じゃが、確かにあの生真面目な爺ならば、そう思うたやも知れぬな」
その口元に、小さな笑みを広げた。
「されど、推測ではない、確かな希望も一つだけございます」
「希望?」瘦小腿原理
「平手殿が最後まで、殿を信じるお心を捨て切らなかった事にございます」
濃姫は繋ぎ合わせた切れ端の末尾に触れながら、穏やかに微笑んだ。
「“良き主君におなり下さいませ”──最後に書き添えたこのお言葉に、平手殿のお心が表れているように思います」
故人を偲びつつ、感慨深げに呟くと
「後は殿が、平手殿のお心にどうお答えになるかでございます」
そう言い置くなり、濃姫は立ち上がって、踵を返した。
「…どこへ参る?」
「寝所へ戻ります。殿も本日はお疲れでございましょう。どうぞ、ごゆるりとお休みなされませ」
姫は緩く頭を下げると、静かに歩を進めた。
「待て──」
信長の、小さいが張りのある声が姫の背にぶつかった。
「そなた、儂がこのような夜更けに、何の為にそなたの座所までやって来たと思うておるのだ?」
濃姫はえっとなって、軽く振り返った。
「この言い難き憂さを晴らしとうて、一日中馬で野を駆け、山々の草木を手当たり次第に切り倒して参った故、汗で身体中が濡れてしもうて、今はもう寒うて寒うて仕方ないのだ」
「…殿」
「そなたは儂の女房であろう。……夫の身体を暖めるくらいの事…してくれても良いのではないか?」
求めるような信長の目が、静かに濃姫を認めた。
姫はその面差しに、愛情深き笑みを浮かべると
「それが、我が夫君の御意であるのならば」
と、足早に信長の側へと歩み寄った。
すっかり冷えきった信長の身体は、濃姫のその華奢な身によって、熱く、そして深く、
朝日が御殿の屋根を白く照らすまで、長らく暖め続けられたのであった。
平手政秀の自刃から数週間後。
濃姫の居間の下座には、老女の千代山が招かれていた。
「──では此度の件で、平手家に対するお咎めなどは何もなかったのですね?」
「はい。五郎右衛門殿共々、平手様のご子息方は今まで通り織田家で仕えよとの、殿の仰せにございます」
その報告に、濃姫の口から安堵の息が漏れた。
信頼はしていても、信長はやはりあの気性。
怒りに任せて平手家を断罪するのではないかと内心不安に思っていたのだが、どうやら杞憂に終わったようである。
「また殿は、平手様の御霊を弔うべく、沢彦和尚を開山に、政秀寺(せいしゅうじ)なる菩提寺を新たに建立なされる由にございます」
「まぁ、殿が平手殿の為に寺を!?」
「左様に伺っておりまする」
千代山が目で首肯すると
「そうでしたか。──あの殿がそこまで」
姫は清廉なその面差しに、暖かさに満ちた微笑を浮かべた。
政秀に対する信長の特別な思いが伝わって来るようで、濃姫も嬉しかったのである。
信長の供養によって政秀の御霊も随分と慰められる事だろう。
良き行いだと、濃姫も一先ず安堵を得ていると
「それに致しましても、あの平手様が身罷(みまか)られたとは、ほんに悔やまれるばかり。
享年六十二……人間五十年と言われる今の世にては、大往生やも知れませぬが」
千代山は虚空に視線を泳がせながら、憮然とした様子で独りごちた。
「されどこれで、殿の奇抜なお振る舞いも少しは改まりましょう。
平手様は、その為に自刃あそばされたと申しても過言ではないのですから」
千代山の言葉に、濃姫は思わず眉根を寄せた。
『あー苦しい……。何で人を好きになるって苦しい事ばっかりなん……。』
三津の目に涙が滲んできた。それに気付いたセツが優しく背中を撫でた。
「どうしたん?」
「いえっ……。私の人生は上手くいかない事だらけやなって。」
「何言っちょるんよ。まぁだこれからよ。上手くいかん事だらけでも必死に抗って,最後に待っとる幸せだけを思い描いとったらいいそ。私には見えるで?幸せそうに笑っとるお三津ちゃん。」
セツは笑わんと幸せは来ないのよと三津の頬を摘んで無理矢理口角を引っ張り上げた。
「ふひひ。」
引っ張られた状態で笑ったから変な笑い声が出た。それを聞いてセツも笑った。
「配膳中辛くなったらここに逃げり。構わんけぇ。」 瘦小腿原理
「セツさんありがと。」
甘やかされてばかりではいけない。いい加減しっかりしないと。三津は気合を入れ直して表情をしゃきっとさせた。
『九一さんを見なければ多分大丈夫。』
平常心を保つにはそれしかない。若干緊張しながら広間に配膳に向かった。
配膳が整う頃にちらほら隊士達が集まりだす。そうすると緊張感も増すし,心臓は早鐘を打つ。
「あー腹減ったぁ。」
「高杉さんお帰りなさい。今日も泊まりかと思って高杉さんの分無いです。」
「嘘やろ!?腹の虫めっちゃ鳴いとる!!」
聞くか?聞くか?と着物をはだけさせて三津に迫った。「脱がんでも聞こえます!冗談ですよ,高杉さんの分もちゃんとありますから早よ座って。」
高杉の登場に少し心臓は落ち着いた。そこへ山縣もやって来て俺味噌汁多め!と背中を叩かれた事で気分も落ち着いた。今日の山縣は本当にいい仕事をする。
「晋作帰っとったん?夕餉もあっちで食って来いや。」
入江の声に少し体が跳ねたが背を向けて顔を見ないようにした。そしてなるべく自然に距離を取るように他の隊士の世話を焼くふりをした。
「夕餉食ったらその後俺まで食われてまた帰って来られんやろが。一滴残らず出し尽くされるかと思ったわ。」
それを聞いた面々はどっと笑って羨ましいなぁと声を上げた。
「三津さんは九一に抱かせてやったかー?」
「は!?阿呆ちゃう!?する訳ないでしょうが!!高杉さんの阿呆ぅ!!」
ここで何て事を言うんだと高杉の背後に駆け付けて後頭部をぶん殴った。せっかく平静を取り戻せたのに入江が女将と居た光景を思い出してしまった。
『私が中途半端な事したからきっと九一さん物足りんくて……。』
女将の所へ行ったんだと勝手に思い込んだ。でもそれをとやかく言えやしない。むしろそっちの方が健全だ。人妻と関係持つより独り身の二人が求め合う方が健全だ。
「三津?」
入江に顔を覗き込まれそうになって三津は咄嗟に逸した。
「阿呆な事言っとらんと早よ食べてくださいね!いっぱい食べていっぱい寝て体休めて下さいっ!」
そう言って三津は広間を飛び出した。明らかに様子がおかしい三津をすぐに入江が追おうとしたが山縣がそれを制した。
「ここは俺が行く。」
そう言うって三津の後を追いかけた。呆然とそれを見送る入江の側にすっとセツが近寄った。
「今日一日ずっとお三津ちゃんに付いとったそ。やけぇ今日は山縣さん最後まで面倒見ようとしとるんよ。」
「あ?有朋が一日?九一お前何しとったそ?」
何で三津の傍を離れたんだと眉間にシワを寄せた。
「いや……戦の報告に宮城さんとこ行っちょって……。」
「連れてったら良かったやろが。」
それを言われて押し黙った。それから後で説明するから今は触れないでくれと小声で伝えた。
三津は早々に台所へ逃げ帰った。離脱が早すぎて情けない。
「嫁ちゃん。」
「山縣さん……。私全然しっかり出来ない。」
駄目ですねぇと覇気のない顔で笑った。
「うん,出来んで当たり前やで。無理すんな。きつかったら白石さんとこ行こう。もう仕事とかいいけぇ。」
それよりも気持ちを整える方が先だと諭した。
ろくでもない話なのは想像がついた。問題はその二人が桂を巻き込んでいる事。
「下世話な話しちょるけぇ耳塞いどき。」
背後にぬっと現れた入江が三津の両耳を塞いだ。
「おはようございます九一さん。聞き流しますから大丈夫です。」
「私が聞かせたくない。」 瘦小腿原理
「三津さんには甘々やな。」
文は私の知ってる入江じゃない気持ち悪いとわざと身を震わせた。
「おはよう三津。嫌なら嫌とこの手を叩き落としていいんだよ?」
桂は軽々しく触れるなと入江の手を取っ払った。
「三津に聞かせられん話しちょったのはそっちでしょ。正直に何話しよったか言えます?三津の目を見て。」
入江ににっこり笑みを向けられ桂はたじろいだ。
「別に聞きたかったらあの二人脅せばいいんですよね?」
三津は真っ直ぐに高杉と山縣を見た。三津と目が合った二人はギクッと肩を揺らして視線を散らした。よほど聞かれては困る事らしい。
「三津さん耳汚しなだけやけぇわざわざ脅して聞くまでもないわ。木戸様も今後に及んで懲りん人やね。そんなに三津さんに嫌われたいん?」
「嫌われたくない!だが過去は変えられんから聞かれたら正直に話すしか……。」
桂は口篭りながらちらちら三津の様子を覗いつつ文の叱咤を受けた。
「そっそう言う三津さんも木戸さんに隠し事しちょるんやないん?」
高杉がこっちばかり責められるのはおかしいと反撃に出た。
「んー隠してると言うか聞かれないので言ってない事はありますよ?」
三津は配膳をしながら聞きたいならどうぞ?と桂を見た。
「聞きたい事……急に言われても分からん……言ってない事があればそちらから言って欲しい……。」
三津の口から何が飛び出してくるか分からず桂の心臓の鼓動は早くなり変な汗も滲み出て来る。
「話してない事……えっと,一番最近で言うと斎藤さんに求婚されました。」
桂は立ち眩みを起こして膝から崩れ落ちそうになった。そこを何とか持ちこたえて平然と配膳を続ける三津の後をついて回った。
「斎藤君にはいつどこで会ったんだ?」
「木戸さんからのこちらに戻ると報せる文が届く少し前くらいですかね。宗が避難してたお寺の近くで待ち伏せてはって。あっでもその時サヤさんも一緒に居ましたから二人きりで会ってた訳やないです。」
「斎藤君はサヤさん居たのに求婚したのか?正気か?」
「正気かどうかは……。」
本人じゃないので分かりませんと答えた。それを入江が笑いを堪えながら見ていた。
「三津,ちゃんと教えちゃり。傍におらん男なんか忘れてしまえって言われたんやろ?
斎藤はまた私用で来てたそうですよ。多分桂小五郎の女として捕まる前に嫁にして幕府側から匿う覚悟だったと私は思います。それだけ本気の求婚を三津は断ったんです。その意味分かりますよね?」
みんなは桂の想いが三津に伝わってないと言うがそっちこそ三津の本気を分かってないじゃないかと入江は思う。
「斎藤……あぁ!主人からの文に一度出てきたわ。あちら側やなかったら間違いなく三津さんを幸せに出来る男やって。」
文がぽんと手を打ちその人知ってると軽く会話に入ってきた。
「兄上そんな事書いてたんですか?」
「確かに玄瑞には妹を嫁にやるなら私より斎藤君の方がいいとは言われた……。私はそんなに三津に相応しくないのか?」
桂はまたしょぼくれた目で三津を見つめた。三津は優しく微笑んで首を横に振った。
「いいえ。私の方が至らないだけです。すぐに泣くし寂しがりで甘えたで忍耐強くないので木戸さんの妻になるにはまだまだ足りない事だらけなんです。だから私が相応しくなるので待っててください。」
「嫁ちゃん本当にええんか?しなだれかかって来た女すぐに食う男やぞ。」
相変わらず場の空気を荒らすのが上手い山縣の後頭部を赤禰がすかさず殴った。
「済んだことぐらい許せる心がないと務まらないって事ですね。精進します。」
理解を示しにっこり笑った顔が桂と高杉には恐ろしく見えた。
「俺もやった方が早よ終わってその分一緒におれる時間も増えるけぇいいそっちゃ。何手伝えばいい?」
「えっと……サヤさんに聞いてから……。」
「そうか,そしたらサヤさんとこ行くか。」
にっと歯を見せて笑うと三津の腰に手を回して歩き出した。
高杉に触れられた三津の体はブルっと震えて全身粟立った。
「ひっ!触るのアカン!!」 瘦小腿原理
条件反射の平手打ち。派手な音と共に高杉の左頬には赤い手形。
『やってもたっ……!!』
「ごめんなさっ……!」
瞬時に謝罪の言葉を口にしたけれど最後まで言う前に高杉の手で口を覆われた。
「すまんすまん,触らんって約束やったな。俺が悪かったけぇ謝らんでええぞ。」
いやぁいい平手打ちするのぉと笑いながら高杉は三津の前を歩き出した。
『今日の高杉さん怖い……。』
一体何を考えているのか。腹の中を読んでやろうとその背中をじっと見つめて付いて歩いた。
「……桂さん,あいつ本気で三津を口説きにかかりますよ。」
吉田には分かった。この前のサヤからの助言,桂のように甘く囁くを実行する気だ。
『馬鹿だなあいつ。それでお前が桂さんみたいになれる訳ねぇだろうに。』
そんな幼稚な作戦に三津は引っかからないと思ってはいるが,高杉が本気だと言う事が気がかりだ。
「さっさと帰ってくれないかねぇ……。」
こっちだって三津を目の届く所に置いておきたいのに,三日もそうやって二人の時間をつくる気なのは腹立たしい。
だが帰ってから投獄されるのだから,思い出作りとして目を瞑ってやるかと桂は自分を納得させた。
『あとは三津が上手くあしらってくれたら問題はない。』
ただ三津の方が情に流されて何か変な事を言い出さないかは心配だった。
『どこにも行かないと言っていたんだ。』
三津の言葉を信じよう。そう思うが最近妙な胸騒ぎがして落ち着かないんだ。サヤから指示をもらって仕事を始めた三津だが,普段女中業などしない高杉がついてくるんじゃ捗るどころか邪魔されるだけな気がしてならない。
仕事を増やされるのは御免だ。ここは新人女中を育てるつもりで高杉に指導する事にした。
「あー駄目ですよ!力任せに絞り過ぎです。布傷んじゃいます!」
「え?こ……こうか?」
「んーそれは絞りが甘いですねぇ。ほら水垂れちゃう。」
「これでどうや!」
「凄い!上手ですー!」
たった一枚の洗濯物の水を絞っただけで三津に手を叩いて褒められる。
高杉はにんまりと笑って胸を張った。
「高杉さんは本当に三津さん好きになっちゃったんですね。」
二人の邪魔をしないように少し離れた所からアヤメは楽しそうな高杉を見ていた。
「桂様も苦労が絶えへんわ。」
サヤはくすくす笑いながら今まで多くの女子を泣かせてきた罰かもねと呟いた。
三津と高杉は洗濯の後,屋敷内の部屋の掃除をして回った。
「いつもこんな大変なんか……。それやのに追い回してごめん……。」
「分かっていただけましたか。」
慣れない事なんかするもんじゃないと疲労感を顕にする高杉に,これが終わったら一旦休憩しましょうと三津は笑った。
掃除を済ませた二人は湯呑みを手に庭に面した縁側に並んで腰をかけた。
「こんだけ働いてまだ昼にもなっちょらんのか……。」
いつもの勢いは皆無。背中を丸めてすっかり意気消沈した高杉を三津は笑った。
「だから高杉さんが外で懸命に動いてる間にもそれを支える為に動いてる人がおるの忘れんとって下さいね。」
三津の言葉に高杉は大きく頷いた。そして改めて三津の方へ向き直った。
「俺は三津さんに支えになってもらいたい。じゃけぇ俺と一緒に来てくれんか。」
真剣な目で見つめられるとちょっと胸が苦しいがはっきり伝えなければならない。
三津は眉を垂れ下げてちゃんと向き合った。
「ごめんなさい。それは出来ません。私の支えは小五郎さんなんです。だから私は小五郎さんから離れたくはありません。」
「何で桂さんやないといけんそ?
俺も三津さん支える。確かに傍にずっとはおれん。無茶ばっかで苦労かける。
やけど俺と一緒になって良かったって思わせる自信もある。」
退く気はないと真っ直ぐに伝えた。