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ろくでもない話なのは想像がついた

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ろくでもない話なのは想像がついた

ろくでもない話なのは想像がついた。問題はその二人が桂を巻き込んでいる事。

 

 

「下世話な話しちょるけぇ耳塞いどき。」

 

 

背後にぬっと現れた入江が三津の両耳を塞いだ。

 

 

「おはようございます九一さん。聞き流しますから大丈夫です。」

 

 

「私が聞かせたくない。」 瘦小腿原理

 

 

「三津さんには甘々やな。」

 

 

文は私の知ってる入江じゃない気持ち悪いとわざと身を震わせた。

 

 

「おはよう三津。嫌なら嫌とこの手を叩き落としていいんだよ?」

 

 

桂は軽々しく触れるなと入江の手を取っ払った。

 

 

「三津に聞かせられん話しちょったのはそっちでしょ。正直に何話しよったか言えます?三津の目を見て。」

 

 

入江ににっこり笑みを向けられ桂はたじろいだ。

 

 

「別に聞きたかったらあの二人脅せばいいんですよね?」

 

 

三津は真っ直ぐに高杉と山縣を見た。三津と目が合った二人はギクッと肩を揺らして視線を散らした。よほど聞かれては困る事らしい。

 

 

「三津さん耳汚しなだけやけぇわざわざ脅して聞くまでもないわ。木戸様も今後に及んで懲りん人やね。そんなに三津さんに嫌われたいん?」

 

 

「嫌われたくない!だが過去は変えられんから聞かれたら正直に話すしか……。」

 

 

桂は口篭りながらちらちら三津の様子を覗いつつ文の叱咤を受けた。

 

 

「そっそう言う三津さんも木戸さんに隠し事しちょるんやないん?」

 

 

高杉がこっちばかり責められるのはおかしいと反撃に出た。

 

 

「んー隠してると言うか聞かれないので言ってない事はありますよ?」

 

 

三津は配膳をしながら聞きたいならどうぞ?と桂を見た。

 

 

「聞きたい事……急に言われても分からん……言ってない事があればそちらから言って欲しい……。」

 

 

三津の口から何が飛び出してくるか分からず桂の心臓の鼓動は早くなり変な汗も滲み出て来る。

 

 

「話してない事……えっと,一番最近で言うと斎藤さんに求婚されました。」

 

 

桂は立ち眩みを起こして膝から崩れ落ちそうになった。そこを何とか持ちこたえて平然と配膳を続ける三津の後をついて回った。

 

 

「斎藤君にはいつどこで会ったんだ?」

 

 

「木戸さんからのこちらに戻ると報せる文が届く少し前くらいですかね。宗が避難してたお寺の近くで待ち伏せてはって。あっでもその時サヤさんも一緒に居ましたから二人きりで会ってた訳やないです。」

 

 

「斎藤君はサヤさん居たのに求婚したのか?正気か?」

 

 

「正気かどうかは……。」

 

 

本人じゃないので分かりませんと答えた。それを入江が笑いを堪えながら見ていた。

 

 

「三津,ちゃんと教えちゃり。傍におらん男なんか忘れてしまえって言われたんやろ?

斎藤はまた私用で来てたそうですよ。多分桂小五郎の女として捕まる前に嫁にして幕府側から匿う覚悟だったと私は思います。それだけ本気の求婚を三津は断ったんです。その意味分かりますよね?」

 

 

みんなは桂の想いが三津に伝わってないと言うがそっちこそ三津の本気を分かってないじゃないかと入江は思う。

 

 

「斎藤……あぁ!主人からの文に一度出てきたわ。あちら側やなかったら間違いなく三津さんを幸せに出来る男やって。」

 

 

文がぽんと手を打ちその人知ってると軽く会話に入ってきた。

 

 

「兄上そんな事書いてたんですか?」

 

 

「確かに玄瑞には妹を嫁にやるなら私より斎藤君の方がいいとは言われた……。私はそんなに三津に相応しくないのか?」

 

 

桂はまたしょぼくれた目で三津を見つめた。三津は優しく微笑んで首を横に振った。

 

 

「いいえ。私の方が至らないだけです。すぐに泣くし寂しがりで甘えたで忍耐強くないので木戸さんの妻になるにはまだまだ足りない事だらけなんです。だから私が相応しくなるので待っててください。」

 

 

「嫁ちゃん本当にええんか?しなだれかかって来た女すぐに食う男やぞ。」

 

 

相変わらず場の空気を荒らすのが上手い山縣の後頭部を赤禰がすかさず殴った。

 

 

「済んだことぐらい許せる心がないと務まらないって事ですね。精進します。」

 

 

理解を示しにっこり笑った顔が桂と高杉には恐ろしく見えた。

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